MBSRにはどんな効果がある?3つの研究から分かっていること

MBSRにはどんな効果がある?研究・エビデンスから解説

こんにちは。SHIPマインドフルネス瞑想センター の「うえ田ボビ夫」です。

MBSR(マインドフルネスストレス低減法)について、「本当に効果があるのだろうか」と疑問を持つ人もいるかもしれません。

瞑想には、宗教的で近づきにくい、効果が曖昧といったイメージもあります。しかし現在、MBSRを含むマインドフルネス瞑想は、不安、抑うつ、痛みなどの領域で科学的な検証が重ねられています。

この記事では、47件の研究をまとめた系統的レビューと、不安症、慢性疼痛を対象とした比較試験を取り上げ、研究から分かっていることを紹介します。

MBSRは何を目指すプログラム?

MBSRは、ジョン・カバット・ジン博士によって開発された8週間のプログラムです。

ボディスキャン、座る瞑想、マインドフル・ムーブメントなどを通して、身体感覚、思考、感情に気づき、ストレスとの新しい関わり方を学びます。

目指すのは、ストレスや不快な感情を完全になくすことではありません。自分に起きていることへ注意を向け、自動的に反応する前に少し立ち止まり、その後の対応を選べるようになることです。

MBSRの基本については、「MBSRとは?8週間で学ぶマインドフルネスストレス低減法」で紹介しています。

MBSR(マインドフルネスストレス低減法)とは?8週間で学ぶマインドフルネス
MBSR(マインドフルネスストレス低減法)とは?8週間のプログラムで行う瞑想やボディスキャン、マインドフル・ムーブメント、研究されている効果、参加にあたっての注意点まで、初めての方にも分かりやすく紹介します。

不安・抑うつ・痛みに関する47件の研究

2014年にGoyalらは、47件のランダム化比較試験、計3,515人のデータを分析しました。

その結果、マインドフルネス瞑想プログラムには、不安、抑うつ、痛みを軽減する効果が示されました。

これは、マインドフルネス瞑想が単なる気分転換や宗教的な実践ではなく、心身の苦痛に対する方法として科学的に検証されていることを示しています。

一方、睡眠、注意、物質使用、食行動、体重については、効果を判断できる十分な証拠が得られませんでした。また、薬物療法や運動、ほかの心理的介入を明確に上回る結果ではありませんでした。

この47件にはMBSR以外の瞑想プログラムも含まれていますが、マインドフルネス瞑想は、不安、抑うつ、痛みを軽減する、科学的根拠のある選択肢の一つです。

不安症の治療薬と比較した研究

2023年にHogeらは、不安症と診断された成人276人を、8週間のMBSRを受けるグループと、エスシタロプラムを服用するグループに分けて比較しました。

エスシタロプラムは、うつ病や不安症の治療に用いられる、SSRIと呼ばれる抗うつ薬です。

8週間後、両方のグループで不安症状が軽減し、主要な評価では、MBSRはエスシタロプラムに劣らない効果を示しました。

「劣らない」とは、あらかじめ定められた基準の範囲で、MBSRによる改善が治療薬より低くなかったという意味です。MBSRが、標準的な治療薬と直接比較できる段階まで研究されていることを示す重要な結果です。

ただし、すべての不安症に、薬と同じように作用するという意味ではありません。また、この研究で提供されたのは、訓練された講師による標準的な8週間のMBSRです。短時間の瞑想や独学と同じ結果を示した研究ではありません。

この結果を理由に、服薬を自己判断で中止しないでください。治療方針を変更する場合は、必ず主治医へ相談する必要があります。

慢性疼痛を対象とした研究

2016年にCherkinらは、慢性疼痛のある20~70歳の成人342人を、MBSR、認知行動療法、通常ケアの3つのグループに分けて比較しました。

開始から26週間後、疼痛による日常生活上の制限が30%以上改善した人は、MBSR群で60.5%、認知行動療法群で57.7%、通常ケア群で44.1%でした。

痛みのつらさが30%以上改善した人は、MBSR群で43.6%、認知行動療法群で44.9%、通常ケア群で26.6%でした。MBSR群の改善は、52週間後にもおおむね維持されていました。

この結果から、MBSRは、慢性疼痛による生活上の制限と、痛みのつらさを改善する有効な選択肢であるといえます。

これは、痛みが必ず消えるという意味ではありません。MBSRでは、身体感覚だけでなく、痛みに伴う不安や考えにも気づきながら、痛みとの関わり方を整えていきます。

痛みがあっても、痛みに生活のすべてを支配されないあり方を育てることも、MBSRの大切な学びです。

3つの研究から分かること

今回取り上げた研究から、次のことが分かっています。

・マインドフルネス瞑想は、不安、抑うつ、痛みを軽減する
・MBSRは、不安症に対する治療薬との比較で、劣らない効果を示した
・MBSRは、慢性疼痛による生活上の制限と、痛みのつらさを改善する

MBSRは、効果が曖昧なリラクゼーション法ではありません。複数の臨床研究によって、心身の苦痛に対する効果が確認されている8週間のプログラムです。

ただし、参加者の状態や研究条件によって、効果の現れ方は異なります。また、MBSRでは毎週のクラスだけでなく、日々のホームワーク、講師の支援、グループでの学びも大切な要素になります。

プログラムの具体的な内容は、「MBSRの8週間では何をする?―プログラム内容を詳しく紹介」をご覧ください。

MBSRの8週間では何をする? ―プログラム内容を詳しく紹介
MBSRの8週間では何をするのでしょうか。ボディスキャン、座る瞑想、マインドフル・ムーブメント、Practice Day、毎日のホームワークなど、8週間のプログラム内容と実践について分かりやすく紹介します。

MBSRは医療や治療を補完するプログラム

MBSRは、医療、薬物療法、心理療法を一律に置き換えるものではありません。必要な治療を続けながら、その人の回復や生活を支える補完的なプログラムです。

瞑想中に不安が強くなる、過去の記憶がよみがえる、身体感覚へ注意を向けることがつらくなる場合もあります。強いトラウマ反応、解離、希死念慮、重い精神症状があるときは、医療機関や専門家による支援を優先してください。

SHIPマインドフルネス瞑想センターでは、事前面談を行い、安心して参加できる状態かを一緒に確認します。また、必要に応じて、併設するIJSセンターの個別カウンセリングと連携しています。

トラウマセラピー
マインドフルネスや瞑想に取り組み始めると、過去の記憶がフラッシュバックして実践が続かなくなる場合があります。SHIPマインドフルネス瞑想センターでは、カウンセリングルームの「IJSセンター」と連携して、個別のサポートも提供しています。

SHIPマインドフルネス瞑想センターのMBSR

SHIPマインドフルネス瞑想センターでは、「一般向けMBSR」と、医療・福祉・心理・教育などの対人援助職を対象とした「支援者のためのMBSR」を提供しています。

症状を無理に消そうとするのではなく、今の自分に起きていることに気づき、困難との関わり方を選び直していく。

8週間の実践を通して、その変化を自分自身の体験から確かめていきます。

MBSRへの参加を検討されている方は、「プログラムのご案内」をご覧ください。

参考文献

・Goyal, M., et al.(2014)Meditation Programs for Psychological Stress and Well-being: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Internal Medicine, 174(3), 357–368.
PubMedで研究情報を見る

・Hoge, E. A., et al.(2023)Mindfulness-Based Stress Reduction vs Escitalopram for the Treatment of Adults With Anxiety Disorders: A Randomized Clinical Trial. JAMA Psychiatry, 80(1), 13–21.
PubMedで研究情報を見る

・Cherkin, D. C., et al.(2016)Effect of Mindfulness-Based Stress Reduction vs Cognitive Behavioral Therapy or Usual Care on Back Pain and Functional Limitations in Adults With Chronic Low Back Pain: A Randomized Clinical Trial. JAMA, 315(12), 1240–1249.
PubMedで研究情報を見る

<スタッフ>
上田知之(社会福祉法人SHIP所属)
公認心理師、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士
SEP(トラウマ療法:ソマテック・エクスペリエンシング)
TSM(トラウマ・センシティブ・マインドフルネス)
MBSR講師 in Traning(IMA/IMCJ)
USPTベーシックレベル
TFT初級アルゴリズム

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